退かぬ！媚びぬ！省みぬ！

ハノイの夜は取り立てて娯楽がありません。

虚構に彩られた煌びやかな夜の街へ行けば、着飾った色彩硝子の女が妖しい夢を見せてくれる、

なんてことは間違ってもありません（笑）

カラオケバーへ行ったところで、不細工なベトナム女がいるだけです。
そういう意味では、余計な金を使わないので、大変素晴らしいシステムになっています。

そんなやることがないハノイの夜で、一時期私は、毎晩某Youtubeで、アニメ北斗の拳シリーズを見ておりました（笑）
北斗の拳と言えばご存じ、めっちゃ臭いお涙頂戴もののストーリーなんですが、毎回感動するのです（笑）
特にシリーズ4作目のラオウとトキの話は、涙なくして見られません。

ラオウって本当は良い奴だったんだな・・・。

とは言え、私は「愛」だの「正義」だの生っチョロイことを語るケンシロウやトキよりも、愛深き故愛を捨てた男・聖帝サウザーの苦悩の方がよりシンパシーを感じます。

ちなみに、大阪大学・大学院理学研究科の松野健治教授が東京理科大学在職中に、ショウジョウバエの内臓逆位の突然変異遺伝子であるMyosin ID（MyoID）を発見し、聖帝サウザーにちなんで、その遺伝子を「サウザー」と命名し、登録されています。

ま、そんなことはどうでもいいんですが、そんな訳で、一時期私は完全に「北斗の拳モード」になっていました（笑）

そんな折、キックボクシングのジムへ行きました。
「北斗の拳モード」の時は、サンドバックを蹴るのも熱が入ります。
そのジムでは女性会員が多いせいもあり、ほとんどスパーリングはやりません。
特に私の場合は、ベトナム人とは体格差があるので、スパーリングをやることはありません。
ごく稀にやるとしても、英国人の会員とお遊び程度の軽めのスパ―リングをやる程度です。

そんな折、たまたま体格の良いベトナム人が練習をしていて、トレーナーが、

Mr.王城、彼と軽めのスパーリングをやってくれないか？

と私に問いました。
体格が良いと言っても、普通のベトナム人よりは背が大きいという程度で、モヤシには変わりがありません。

もとより私は「北斗の拳モード」なので、異存のあるはずがありません（笑）

うむ。いいだろう。

トレーナー：　１Rは2分にしますか？3分にしますか？

2分もあれば十分だ。

トレーナー：　Mr.王城、軽めのスパですよ・・・。

I Know.

トレーナー：　では、はじめ！

カ～～～～ンッ！

ま、軽めのスパーリングの場合は、だいたいいつも相手の攻撃をディフェンスしてカウンターをペチペチ当てて行く、という感じです。

そんなことをしている内に、だんだんベトナム人はムキになってきました。
これベトナム人の性格なんでしょうか？（笑）

ほほぅ。
この俺様相手に臆することなく挑んでくるとは、いい根性だ。

だが、しかし、そんな突きや蹴りでは、この聖帝・王城の肉体にはダメージすら与えられんな。

調子コイてる奴は締めておく、というのは、ジムや道場の鉄則です（笑）

モヤシのへなちょこキックと極真の下段回し蹴りの違いを骨身に染みよ！

ドスっ！ドタッ
一撃で転倒、ほぼ戦意喪失（笑）

起き上がって来たところを、

看よ！南斗鳳凰拳・奥義・極星十字拳！！

ゥワアタタタタタタタッ！

コーナーに詰まったところを、

喰らえ！我が必殺のローリングソバット！！

ドスッ！

ううぅぅぅ・・・・。

あ、入っちゃった、ごめん（笑）、大丈夫？？

こうして、軽めのスパなのに１ラウンドKOという前代未聞の結果に終わり、

軽めのスパって言ったじゃないですか・・・・。

と、トレーナーに怒られました（笑）

ま、しかし、格闘技というのは完膚なきまでに叩きのめされた後、這い上がって来られる者だけが強くなる権利があるのです。

それ以来、ジムでスパーリングの声はかからなくなりました（笑）

おまえら、ショボ過ぎ。鍛えろ。